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訓読文 |
現代語訳
問曰。若爾則無聖所愛戒。
答曰。以諸学人漏未盡故我心時発。是故於戒生愛。非阿羅漢我心永滅而生愛也。
問曰。劬阿羅漢於時解脱六返退失。恐第七退故以刀自害。若失有漏不応自害。故知時解脱不名有漏。
答曰。此人退失所用断結禅定。於此定中六返退失。第七時還得此定。便欲自殺。爾時尋得阿羅漢道。是故魔王謂。学人死繞尸四辺遍求其識来。白佛言。世尊。云何汝弟子未漏盡而死。佛言。此人已拔愛根得入泥洹。
問て曰く。若し爾らば則ち聖所愛の戒無きや。
答て曰く。諸の学人は漏の未だ盡きざるを以ての故に我心、時に発る。是の故に戒に於いて愛を生ず。阿羅漢は我心を永く滅して而も愛を生ずるには非ざる也。
問て曰く。瞿提阿羅漢*1 は時解脱に於いて六返退失し、第七の退を恐るるが故に刀を以て自害す。若し有漏を失するならば応に自害すべからず。故に知んぬ、時解脱を有漏と名づけずと。
答て曰く。此の人、所用の断結の禅定を退失し、此の定の中に於いて六返退失し、第七の時に還た此の定を得て、便ち自殺せんと欲す。爾の時、尋いで阿羅漢道を得たり。是の故に魔王は学人は死せりと謂いて尸の四辺を繞りて遍ねく其識を求め来たり、佛に曰して言さく。世尊。云何が汝の弟子の未だ漏盡せずして死ぬやと。佛の言く。此の人、已に愛根を拔きて泥洹に入ることを得と。
問い: もしそうであるならば、「聖者が愛好するところの戒」というものは無いのであろうか。
答え: 諸々の修行途上の者らは、いまだ煩悩が尽きてはないために我心が、しばしば起こる。ために戒について愛執を生じるのである。阿羅漢は、我心を断滅しており、愛を生じることはないのである。
問い: 瞿提(ゴーディカ)阿羅漢は、時解脱したにも関わらず六度にわたって退転。七度目に得た時解脱から退転することを恐れたために、刀でもって自害した。もし、有漏を失したのであれば自害する必要はなかった。このことから知られるであろう、時解脱は有漏ではないということが。
答え: 瞿提は、修めていたところの断結の禅定から退転すること六度に渡り、七度目に再びこの禅定を得たとき、自殺しようと思い立ったのである。まさにその時、阿羅漢道を得たのである。そのため、魔王は(瞿提は修行途中で命を落としたと思い込み)「未完の修行者が死んだ」と云って、その遺骸の周囲を廻って彼の意識を探し求め、(しかしついに見つからずして、)仏陀にこのように申し上げたのである。「世尊よ、一体どうして汝の弟子は、いまだ煩悩を尽くさずに自ら死んだのであろうか」と。仏陀は答えられた。「この人(瞿提)は、すでに渇愛を抜っして涅槃に入ったのである」と。
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