現在の位置
解題・凡例 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 原文 | 訓読文 | 現代語訳
次應發弘誓願。我久在有流。或於過去。曾行菩薩行。利樂無邊有情。或修禪定。勤行精進護持三業。所有恒沙功徳。乃至佛果。唯願諸佛菩薩興慈願力。加威護念令我乘斯功徳。速與一切三昧門相應。速與一切陀羅尼門相應。速得一切自性清淨。如是廣發誓願。令不退失速得成就
次應學調氣。調氣者。先想出入息。從自身中一一支節筋脈。亦皆流注。然後從口徐徐而出。又想此氣。色白如雪潤澤如乳。仍須知其所至遠近。還復徐徐從鼻而入。還令遍身中。乃至筋脈悉令周遍。如是出入各令至三。 作此調氣。令身無患冷熱風等悉皆安適。然後學定。輸波迦羅三藏曰。汝初學人。多懼起心動念罷息進求而專守無念以爲究竟者。即覓増長不可得也。夫念有二種。一者不善念。二者善念。不善妄念。一向須除。善法正念。不令復滅。眞正修行者。要先正念増修。後方至於究竟清淨。如人學射久習純熟。更無心想行住恒與定倶。不怕不畏起心。爲患虧於進學
このページのTOPへ / 原文へ / 訓読文へ / 現代語訳へ / 語注へ
次に応に弘誓願を発すべし。我れ久しく有流に在り、或は過去に於て、曾て菩薩行を行じ、無辺の有情を利楽し、或は禅定を修し、勤行精進して、三業所有の恒沙の功德、乃至佛果を護持す。唯だ願くば諸佛菩薩、慈願力を興して加威護念し、我をして斯の功徳に乗ぜしめ、速かに一切三昧門と相応せしめ、速かに一切陀羅尼門1と相応せしめ、速かに一切自性清淨2を得せしめたまえ。是の如く広く誓願を発して、退失せしめざれば速かに成就を得ん。
次に応に調気3を学すべし。調気といっぱ、先ず想へ、出入の息は、自らの身中の一一の支節筋脈より、亦た皆な流注す。然して後ち口より徐徐に出づと。又た想へ、此の気は、色白きこと雪の如く潤沢なること乳の如しと。仍て須く其の至る所の遠近を知るべし。還して復た徐徐に鼻より入り、還て身中に遍からしめ、乃至筋脈悉く周遍ならしむ。是の如く出入すること各三たびに至らしむ。此の調気を作して、身を患無からめ、冷熱風等悉く皆な安適ならしめ、然して後ち定を学すべし。
輸波迦羅三蔵の曰く、汝初学人、多く起心動念4を懼れ、進求を罷息て、専ら無念5を守りて、以て究竟と為せば、即ち増長を覓めるといえども不可得也。夫れ念6に二種有り。一には不善念、二には善念なり。不善妄念は、一向に須らく除くべし。善法正念は、復た滅せしめざれ。真正の修行者は、要ず先ず正念増修し、後ち方に究竟清淨に至るべし。人の射を学ぶに、久しく習ふて純熟するが如し。更に心想を無くして行住、恒に定7と俱なるべし。起心を怕ず畏れざれ。進学を虧くを患ひと為せ。
このページのTOPへ / 原文へ / 訓読文へ / 現代語訳へ / 語注へ
次に、まさに弘誓願を発せ。
「私は、幾久しく生死流転してきた中で、あるいは過去世において菩薩行を行じ、数えきれないほど多くの有情を利楽し、あるいは禅定を修し、勤行精進して、(身口意の)三業によって計り知れない功徳および仏果を護持してきました。ただ願くは諸仏菩薩よ、慈しみの願力を起こして加威護念し、私をしてその功徳に乗ぜしめ、速かに一切三昧門と相応せしめ、速かに一切陀羅尼門と相応せしめ、速かに一切自性清淨を得せしめたまえ」
このように広く誓願を発し、退失することがなければ速かに成就を得るであろう。
次に、まさに調気〈prāṇāyāma. 呼吸・気を整えること〉を修めよ。調気するには、先ず「出・入の息が自らの身体中の一つ一つの手脚、筋や脈へとすべて流れ注ぎ、そうして後に口より徐徐に出ていく」と観想せよ。そして、「この気の色は白く雪のようであって、その潤沢である様はまるで乳のようである」と観想せよ。そのようにして、すべからく気が至る所の遠近を知らなければならない。還して復た徐徐に鼻より入り、還て身中に遍からしめ、乃至、筋脈悉く周遍ならせる。そのように(気を)出・入することそれぞれ三度までなす。この調気を行って、身体の患いを取り除き、冷熱の風等を全て快適としてから、定を行ぜよ。
そこで輸波迦羅三蔵はこのように言われた。
「汝ら初学の者は、しばしば心が乱れ、念〈smṛti / sati. 注意力・気をつけること〉の動じることを恐れて、さらに(定を)深めようとせず、むしろ無念〈ここでは「なんら心が働いていない状態」のこと〉であろうと努めて、そのような状態を究竟だと考えたならば、さらに増長〈心をさらに開発・陶冶すること〉しようとしてもそれを得ることなど出来はしない。そもそも、念には二種ある。一つは不善念、二つには善念である。不善妄念とは、ひたすらに必ず除かなければならない。けれども善法正念は滅してはならない。真正の修行者は、かならず先ず正念を修めて強くし、そうしてこそ後に究竟清淨に至るであろう。それは人が弓を射ることを学ぶ時、久しく習って次第に習熟していくようなものである。さらに心想を無くし、歩く時も留まる時も、つねに定と共にあれ。心が乱れることを嫌がらず恐れる事なかれ。定を深めんとする意志を欠くことを患いとせよ」
このページのTOPへ / 原文へ / 訓読文へ / 現代語訳へ / 語注へ
脚註:沙門覺應
このページのTOPへ / 原文へ / 訓読文へ / 現代語訳へ / 語注へ
解題・凡例 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 原文 | 訓読文 | 現代語訳
メインの本文はここまでです。
現在の位置
このページは以上です。