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『無畏三蔵禅要』とは、『大日経』系の密教の正統の支那に伝えた人とされる善無畏〈Śubhakara-siṃha〉が、支那の北宗禅の祖とされる嵩岳会善寺の敬賢[きょうけん]と対論した際に授けた内容を、長安は終南山西明寺の慧警[えきょう]なる人が筆記し、後にさらに(あるいは一行[いちぎょう]、あるいは慧琳[えりん]によって)再補されて成った書です。日本に初めて『無畏三蔵禅要』を伝えたのは空海ですが、その後も円仁や宗叡など入唐僧もそれぞれ持ち帰って伝えています。
その内容とは、三聚浄戒および三昧耶戒の授戒法についてが大半を占めたもので、その最後半に修禅の意得と密教の修定法とに触れたものとなっています。しかし、その短い中でも、いわゆる調気法や月輪観、そして独自の経行とが示されていることから、その重要な典拠の一つとなっています。また、そこで触れられている修禅の意得は、これは密教行者に限られたものではなく、広く仏道を真摯に修める人々にとってすこぶる有益な教誡と言えるものです。
『無畏三蔵禅要』はその末尾に「無畏三蔵受戒懺悔文及禅門要法」との尾題が挙げられてもおり、一般にただ『禅要』あるいは『無畏の禅要』などと略称されます。もっとも、「禅要」と題されたものではありますが、先に述べたようにその大半は授戒法について説かれたものであり、真言宗では特に小野流において、三昧耶戒の授戒作法の本拠として用いられています。
非人沙門覺應 敬識
(horakuji@gmail.com)
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このサイトで紹介している『無畏三蔵禅要』は、大正新修大蔵経32巻所収のもの(経典番号:1646)を底本とし、また実範による保安四年〈1124〉七月十二日に成身院にて為した写本を元として承応四年〈1655〉三月に翻刻・出版されたものを適宜参照した。
原文は漢文であるが、読解に資するよう、さらに書き下し文・現代語訳を併記し、対訳とした。
現代語訳は、基本的に逐語的に訳している。しかし、読解を容易にするため、原文にない語句を挿入した場合がある。それら語句は( )に閉じ、挿入語句であることを示している。しかし、挿入した語句に訳者個人の意図が過剰に働き、読者が原意を外れて読む可能性がある。注意されたい。
註は、とくに説明が必要であると考えられる仏教用語などに適宜付した。
非人沙門覺應 敬識
(horakuji@gmail.com)
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