真言宗泉涌寺派大本山 法楽寺

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1.沙弥とは

見習い男性出家修行者

写真:スリランカの沙弥(無断転載厳禁)

沙弥[しゃみ]とは、サンスクリットŚrāmaṇera[シュラーマネーラ]またはパーリ語Sāmaṇera[サーマネーラ]の音写語で、勤策男[ごんざくなん]または求寂[ぐじゃく]などと漢訳される、原則として数え14歳から20歳未満の年少男性出家修行者、いわゆる小僧[こそう]です。

沙弥には、生涯の師・根本の師となる長老比丘、いわゆる和上[わじょう](サンスクリットUpādhyāya[ウパーディヤーヤ]あるいはパーリ語のUpajjhāya[ウパッジャーヤ]の音写語とされる言葉)、これは具足戒を受けてから十年以上を経過しており、法(Dharma)と律(Vinaya)とに長じ、かつ人徳ある僧のことですが、そのもとで十戒を受け、出家することによってなることが出来ます。

むろん沙弥とは出家者ですが、しかし僧伽の正式な成員ではなく、よって布薩[ふさつ]などの僧伽の重要な儀式などに参加することは出来ません。また僧伽に布施された食事や物について、比丘達の許可や布施者の指定がなければ、その分配に預かることはできません。

沙弥が数えで20歳となって具足戒を受け、比丘となって初めて、僧伽の一員として認められます。

もっとも、沙弥の生活は比丘に準じたものであり、具足戒を受けてはいなくとも出家修行者に変わりありません。よって、これを犯すようなことがあれば、悪作[おさ]という罪が適用されます。また、悪作以上の罪を犯した場合、比丘と同じ罰は与えられませんが、それなりの懲罰が与えられます。時には追放に処せられる場合もあります。

十戒
No. 戒名 戒相(抄)
1 不殺生戒 いかなるものであれ、故意に生命を殺傷しない。
2 不偸盗戒 与えられていない物を、みずからの物としない。
3 不婬戒 相手が男女・天人・獣、自慰であれ、一切の性行為をしない。
4 不妄語戒 故意に虚言を吐かない。
5 不飲酒戒 穀物酒であれ果実酒、薬酒であれ、一切の酒類を飲まない。
6 不塗飾香鬘戒 身体を、装飾品や香水などつけて飾らない。
7 不歌舞観聴戒 音楽や舞踏、映画など演芸の類を鑑賞しない。
8 不坐高広大牀戒 高く広い寝台で休まない。
9 不非時食戒 正午から翌日の日の出まで、一切の固形物を食さない。
10 不蓄金銀宝戒 金銀財宝、金銭に触れ、蓄えない。

(十戒についての詳細は、戒律講説戒についてにある”十戒”の項を参照のこと。)

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2.三種の沙弥

伝統的呼称

写真:托鉢から還った比丘達の鉄鉢を運ぶラオスの沙弥(無断転載厳禁)

沙弥には、先に述べたように、数え14歳からなることが出来ます。

しかし、場合によっては7歳から沙弥になることも出来ます。また、20歳を過ぎて比丘になることが出来るにも関わらず、なんらかの理由によって具足戒を受けずに沙弥のままでいるものもあります。

日本では一般に、7歳から14歳未満の沙弥を駆烏沙弥[くうのしゃみ]、14歳から20歳未満の沙弥を応法沙弥[おうぼうのしゃみ]、20歳以上のものを名字沙弥[みょうじのしゃみ]と呼称しました。もっとも、これは呼称が異なるのみでその扱いや立場が異なるという事はありません。

二十歳を超えてなお具足戒を受けず、名字沙弥で居続けるのには、いくつかの理由が考えられます。

一つは、比丘となってしまうと権利も増えるが義務もまた格段に増え、行動に制限がされてしまうから、いつでなろうと思えばなれるが、あえて比丘にはならない。また一つは、比丘にはなりたいが、親の許可が降りない、借金がある、伝染病に罹患しているなどの理由で、現在の状態では具足戒を受けられない。あるいは身体的に不具であって、決して具足戒を受けることが出来ない、などです。

7歳から14歳の駆烏沙弥とは、「カラスを駆う沙弥」との意味です。この呼称の由来は、両親を亡くして路頭に迷っている子供を不憫に思ったアーナンダ尊者が、彼等を沙弥として出家させて良いかの許可を釈尊に求め、釈尊は「僧園を荒らす鳥を追い払う」程度の能力があるならば、との条件付きで許されたという因縁によるものです。

小苾蒭覺應 敬識
(horakuji@gmail.com)

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