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‡ 元照『仏制比丘六物図』

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1.原文

十加法行護。初加法者。必從次第。先加五條。準十誦文 大徳一心念。我比丘某甲。此安陀會五條衣。受一長一短。割截衣。持三説。揲葉襵葉隨改 中衣則云。此欝多羅七條衣受。兩長一短割截衣持。大衣則云。此僧伽梨。二十五條衣受。四長一短。割截衣持。餘詞同上。次明捨法準僧祇文 大徳一心念我某甲。此安陀會是我三衣數。先受持。今捨一説。餘二準改。並須求明律者。對首作之。次明行護。十誦。護三衣如自皮。鉢如眼目。著大衣不得摙木石土草。掃地等種種作務。不應爲之。決正二部律論。著大衣入村。見師僧上座別人。不得禮得禮佛及衆僧 十誦。所行之處。與衣鉢倶。無所顧戀。猶如飛鳥。若不持三衣。入聚落犯罪。僧祇云。當如塔想。祖師云。諸部竝制隨身。今時但護宿者。不應教矣。

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2.訓読文

十に加法行護。

初めに加法1とは、必らず次第に從て、先ず五條を加ふべし。十誦2の文に準ず大徳一心に念ぜよ。我比丘某甲、此の安陀會は五條の衣なり。一長一短の割截衣を受けて持つ三説す。揲葉と襵葉は隨て改めよと。中衣は則ち云ふべし、此の欝多羅は七條の衣なり。兩長一短の割截衣を受けて持つと。大衣は則ち云ふべし。此の僧伽梨は二十五條の衣なり。四長一短の割截衣を受けて持つと。餘の詞は上に同じ。

次に捨法3を明す。僧祇4の文に準ず大徳一心に念ぜよ。我某甲、此の安陀會は是れ我が三衣の數にして、先に受持せり。今捨す一説す。餘の二は準じて改むべし。並びに須く明律の者を求めて、對首5に之を作すべし

次に行護6を明す。

十誦7には、三衣を護ること自の皮の如くし、鉢は眼目の如くせよ。大衣を著して木石土草を摙ぶことを得ず。掃地等の種種の作務、應に之を爲すべからずと。

決正二部律論8には、大衣を著して村に入り、師僧・上座・別人を見て禮することを得ずと佛及び衆僧は禮することを得

十誦9には、所行の處、衣と鉢と倶にして、顧戀する所無し。猶ほ飛鳥の如くすべし。若し三衣を持たずして聚落に入れば罪を犯すと。

僧祇10に云く、當に塔想の如くすべしと。

祖師11云く、諸部竝びに制して身に隨はしむ。今時但だ宿を護る12は、教に應ぜざるなり。

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3.現代語訳

《第十 加法行護》

◆ 加法

(受衣の際には)必ず(律蔵に定められた)次第に従って(羯磨を行い)、まず五条を(己の衣として)加えるべきである。

『十誦律』の文に準ずる。
「大徳一心に念ぜよ。我比丘某甲、この安陀会は五条の衣なり。一長一短の割截衣を受けて持つ」三説する。揲葉衣と襵葉衣の場合は適宜語を改めよ。

中衣の場合は、「この欝多羅は七条の衣なり。両長一短の割截衣を受けて持つ」と云う。

大衣の場合は、「この僧伽梨は二十五条の衣なり。四長一短の割截衣を受けて持つ」と云う。その他の詞は上に同じである。

◆ 捨法

『摩訶僧祇律』の文に準ずる。
「大徳一心に念ぜよ。我某甲、この安陀会はこれ我が三衣の数にして、先に受持せり。今捨す」一説する。他の二衣についてもこれに準じて語を改めよ。および須く律に通じた者を求め、対首にてこれを行うべきである

◆ 行護

『十誦律』には、「三衣を護持すること、あたかも自分の皮膚のようにし、鉢は己が眼目かのようにせよ。大衣を着用している際に木石土草を運んではならない。掃除などの種種の作務もなしてはならない」とある。

『決正二部毘尼論』〈劉宋道厳律師撰『決正二部律論』〉には、「大衣を着用して村に入ったとき、師僧・上座・別人に遭っても礼拝してはならない」とある仏陀及び衆僧であれば礼拝することは出来る

『十誦律』には、「どこでも赴く所には常に衣と鉢とを倶にし、彼方此方と見回すことなく、あかたも飛鳥のようにせよ。もし三衣を持たず聚落に入ったならば罪を犯す」とある。

『摩訶僧祇律』には、「まさに(三衣をして)塔想せよ〈仏塔の如くに見なせ、の意〉」とある。

祖師は、「諸部派は通じ制して(三衣は常に)身に備えるべしとしている。今時の者らがただ宿を護るのみ〈起居する処に三衣を収蔵しているだけ〉であるのは、仏陀の教えに相応しないものである」と言われている。

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4.脚註

  • 加法[かほう]…衣鉢などの所有を宣言する方法。比丘は衣鉢など何かを自らのものとして所有する際、必ず律に定められた文言に従ってその所有を宣言しなければならない。→本文に戻る
  • 十誦[じゅうじゅ]…『十誦律』巻四十六「我某甲。是衣安陀會五條受。一長一短割截衣持」(T23. P331b)。しかしこれは比丘尼の羯磨として載せるものであって、比丘については以下の如し。『十誦律』巻廿一「我某甲。此衣安陀會五條受。若割截若未割截。是衣持。第二我某甲。此衣安陀會五條受。若割截若未割截。是衣持。第三我某甲。此衣安陀會五條受。若割截若未割截。是衣持」。→本文に戻る
  • 捨法[しゃほう]…所持する物品の所有権の放棄を宣言する方法。→本文に戻る
  • 僧祇律[そうぎりつ]…『摩訶僧祇律』巻十九「此安陀會。是我三衣數。先受持。今捨此安陀會」(T23. P331b→本文に戻る
  • 對首[たいしゅ]…懴悔や捨法を行うのに際し、一人の他比丘に対して行うこと。対首懺。→本文に戻る
  • 行護[ぎょうご]…衣鉢をいかに使用・所持するべきかの規定。その運用法。→本文に戻る
  • 決正二部律論[けっしょうにぶりつろん]…『決正二部毘尼論』(『毘尼決正論』)。劉宋道厳律師による著作。散逸。→本文に戻る
  • 十誦[じゅうじゅ]…『十誦律』巻五十七「衣法者。當賞護衣如自皮。若著僧伽梨。不得捉持瓦石泥土草木等。不應以青黄等色塗染。若著僧伽梨。不應掃灑塗地。不應以足躡。不應敷坐。不應敷臥。不應襯身著僧伽梨。隨僧伽梨法應用」(T23. P419b→本文に戻る
  • 僧祇律[そうぎりつ]…『章服儀』に同一の一節を載せるが『摩訶僧祇律』には該当なし。あるいは『大宝積経』巻百十三に「應以八法敬重袈裟。何等八。於身袈裟。應起塔想。世尊想。寂滅想。慈想。敬如佛想。慚想。愧想。令我來世離貪恚癡具沙門法想。迦葉。是名八法敬重袈裟」(T11. P639c)とある。→本文に戻る
  • 祖師[そし]…『行事鈔』巻下「諸部並制隨身。今時但護離宿不應教矣」(T22. P811c→本文に戻る
  • 但だ宿を護る…起居する処に三衣をただ「収蔵」しているだけで、律の規定通り正しく用いていない、との意。→本文に戻る

現代語訳 脚註:非人沙門覺應
horakuji@gmail.com

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